養育費は定期払が原則ではありますが,養育費を払う側ともらう側が合意をすれば,一括でもらうことも可能です。
では,養育費を一括でもらって,それを使い切ってしまった場合,もう一度養育費をもらうことはできるのでしょうか。
この点,調停手続による決定の場合でも,当事者の話し合いによる場合でも,当事者は,お互いが納得のうえで決めた合意内容には拘束されることになります。
そして,養育費の一括払いの合意が,その後の養育費の再度の請求を許さない旨の内容と判断される場合には,養育費の再請求は認められません。
もっとも,養育費は,子供の養育のために支払われるという性質のものですから,さまざまな事情の変更によって,養育費が不足し,子供の監護養育に不利益が生じる場合にまで,再度の請求が認められない,となるとそれは酷というものです。
このため,一括払い時には想定できなかったような相当な事情の変更があったといえる場合には,事情変更があったとして,再度の養育費の請求が認められる,と考えられます。
もっとも,事情変更があったかといえるかは,それぞれの事件に応じて判断されます。
過去のケースでは,養育費の一括払いを受けていたが,子供を私立中学校,学習塾に進学させたために,養育費を使い切ったという例で,私立学校,学習塾に通わせた場合には,高等教育を受ける以前に養育費を使い尽くすことは容易に想定できた,として,養育費の再度の支払請求を認めなかった例があります。