自分が浮気して,別居した場合に,他方の配偶者に婚姻費用(生活費)の請求はできるのでしょうか。
これについては,先例として東京家庭裁判所の平成20年7月31日の審判があります。
この事案は,以下のようなものでした。
夫婦の間には,長女が一人。
妻が勤務先の男性と不倫関係になり,不倫相手のアパートで暮らすようになった。
後に,妻は賃貸マンションを賃貸し,長女を引き取って生活していた。
このような事案で,裁判所は以下のように判断しました。
別居の原因を自ら作り出した妻は,自らの生活費にあたる分の婚姻費用の請求は権利濫用となり許されない。
請求できるのは,未成年の長女の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるにとどまる。
自ら不貞行為をしながら,婚姻費用の請求をできるとするのは,一般人の感覚からずれているといえ,
裁判所は,子どもの監護養育費用の請求しか認めませんでした。
別居の原因を作り出した者からの婚姻費用の請求は制限されることが一般的といえるでしょう。