借家人が死亡した場合,借家人について相続が発生します。
借家人(賃借人)が死亡し,複数の相続人がいる場合には,共同相続となります。
共同相続は,民法上,共有とされているため,賃借人の地位が法廷相続分に分かれて相続されることになります。
例えば,2名の子の共同相続人がいる場合には,2名がそれぞれ2分の1ずつ割合で賃借権を有することになります。
では,請求できる賃料は,2分の1だけかというとそうではなく,それぞれの相続人に対し,全額を請求できます。
(ただし,契約賃料以上の額を請求できるわけではなく,誰か一人が全額支払ったら,ほかの相続人には請求できません。)
賃貸人としては,お金を払ってくれるだけの資力がある相続人に請求すればよいわけです。
では,相続人が賃料を支払ってくれない場合の解除はどうすればよいでしょうか。
この場合,相続人の一人に対する催告は,他の相続人との関係では効果がなく。
相続人の全員に賃料を支払うよう催告する必要があります。
そして,契約の解除の通知も共同相続人の全員に対してしなければなりません。
このため,借家人(賃借人)に相続が発生したときに,契約の解除をするには注意して解除手続を踏まないと,
催告したはいいが,全員にしていなかったためにやり直しが必要になってくる場合があります。