2016.10.20更新

借主が家賃を滞納した場合に,貸主が自由に貸した建物に入ることができる条項は有効でしょうか。

確かに貸主としては,自分の建物なのだから,例えば,家賃滞納などの場合には,自由に借主の部屋に入って借主が在室しているかなどを確認したいと気持ちはあるでしょう。

 

しかしながら,貸主が借主の同意なくして自由に当該部屋に入ることは借主の生活の平穏を害する行為になり,法律上は許されません。

正当な理由がない場合には住居侵入の犯罪を構成してしまう場合もあり得ます。

 

やはり,現在,人に建物を貸している以上は,現在使用している人がその建物を占有しているわけですから,自由に入ることを許す状況は,

公序良俗に反するものと考えられます。

緊急時など,合理的な理由を限定しない限りは,借主の部屋に事由に入れるとする条項は無効であるといってよいでしょう。

投稿者: 棚田 章弘

2016.10.17更新

取り壊し予定の建物があるけれども,一時的に賃貸するという大家さんもいらっしゃやると思います。

この場合,どのような内容で賃貸借契約を交わせばよいでしょうか。

 

借地借家法は,この点について規定を設けています。

借地借家法第39条

①法令または契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において,建物の賃貸借をするときは,第30条の規定にかかわらず,建物を壊すときに賃貸借が終了する旨を定めることができる。

②前項の特約は,同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってなされなければならない。

 

この条文による限り。

①法令または契約により一定期間経過後に建物を取り壊すときに契約が終了することを約すること

②取り壊すべき理由を書面に記載すること

で,取り壊しとともに契約が終了する契約にすることができます。

 

しかし,逆に,これを記載した契約書を作成しない場合には,取り壊す予定を口頭で説明しても,契約の終了を主張できないことになります。

①のみを記載しても,契約の終了を主張できませんから,きちんと②まで契約書に記載しておくことが大切です。

 

契約書を作成する際には,専門家に相談して作成しておくことをお勧めします。

投稿者: 棚田 章弘

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