不動産・賃貸トラブル
家賃の滞納にお悩みの方(土地・建物明渡請求)
家賃の催促は、口頭や書面による通達のほか、支払督促の申立て、通常裁判などの方法があります。支払督促手続の場合、借り主から異議申立がされなければ、判決を得たものと同様の効果が得られ、強制執行により債権を回収することが可能です。
また、未払いの状態が続いた場合は、賃貸借契約を解除したうえで、正式な判決を得て、国家機関による強制執行に移ることになります。弁護士からの受任通知をもって、態度が軟化することもあり、スピード感をもった解決が得られることがあります。いずれにしても、「本気で解決する」という姿勢を見せることが重要になってきます。賃料未納状況が継続すると、借主は、未払いを続けることに慣れてしまって一向に払ってこない、という状況にもなりかねませんので、初期の段階での対処が大切になります。
不動産の共有を解消したい方(共有物分割)
不動産を共有している場合、共有している者のひとりが不動産を利用し続け、他の共有者は全く利益を受けられないというケースが多くみられます。この場合、不法占拠とは異なりますので、明け渡しを命じるわけにはいきません。多くの場合、以下に挙げる3通り方法から、もっとも適切な解決策を模索していくことになります。
換価分割
不動産を売却し、その費用を分割します。
現物分割
土地など可分できる不動産の場合、現物を分割します。
代償分割
不動産は分割せず、完全な所有権を取得する共有者がそのほかの共有者に対し、対価を支払います。
賃料が不適切だと感じている方(賃料減額増額請求)
賃料は、一度合意がなされると、減額と増額にかかわらず、変更することは相当困難になります。当事者同士の話では賃料の変更が難しい場合でも、専門家が間に入ることで、話が進む場合も少なくありません。
また、貸主側の立場からは、不動産契約の中に「定期借地権」「定期借家権」を盛り込むケースが増えてきました。これは、契約期間を過ぎても自動更新が行われない、「定期」に限った制度です。この制度を用いることで、長期間に渡って契約時の賃料に拘束されるという危険性を少なくすることができます。また、この制度は、道路の拡張工事や老朽化による建て直しが予定されている場合などでも、空き地、空き部屋を有効活用することができます。
借地権をお持ちの方(借地非訟)
借地借家法は原則として、生活する権利を侵害しないよう、住んでいる側に有利な内容となっています。建物の老朽化などで取り壊しや修復が必要な場合は、借り主が納得できるような条件を示し、立ち退きや転居の話し合いを進めます。
こんなときどうする? 不動産トラブルのケーススタディー
【ケース1】アパートの借り主が家賃を半年ほど支払わず、困っている。
■結果
内容証明郵便を発送し、弁護士が付いたことを知らせることで、支払いがなされた。
ポイント
未払いがあったため、再発防止に向けた合意書を取り交わしたものの、その後も支払い要求に応じなかったケースです。この件は裁判に至りませんでしたが、その手間を考えると、やんわり退去を勧告した方がリスクを残さないかもしれません。
【ケース2】賃貸借契約期間が終了したが、借り主がそのまま居座っている。
■結果
訴訟手続きを申立て、不動産の明渡しを迫った。
ポイント
賃料の未払いがあったため、賃貸借契約解除をし、明け渡しを求めたケースです。ところが、その後も占有を続け、賃料は支払われないままでした。相手方は賃料を支払わないまま引き伸ばそうという意図が見えたので、この場合は裁判所による強制執行を念頭に置き、事案を進めることにしました。
【ケース3】ビルの売却を予定しているが、それまでの間、空きテナントを有効活用したい。
■結果
定期賃貸借契約を結ぶことで、自動更新されることを防いだ。
ポイント
「定期賃貸借契約」とは、一般の契約とは異なり、時限を切って不動産を貸すことのできる制度です。将来的に使い道があるものの、現在寝かせておくのがもったいないようなときに便利です。特にこれといった予定のない場合は、無理に盛り込む必要はありません。