2016.11.11更新

賃料増額,賃料減額の裁判を提起した場合,どのように裁判は進むのでしょうか。

争点は,賃料が高いか,安いかですから,訴える原告が自分の考える適正賃料を主張し,証拠によって,証明していくことになります。

一方,訴えられた被告としては,現行の賃料が適正であることを証拠によって立証します。

双方,不動産鑑定士の鑑定書を用いて立証したり,裁判所が選任する鑑定人の鑑定によって,適正賃料の証明がなされます。

賃料減額の裁判が確定した場合,貸主は,裁判によって決められた賃料とそれまで受け取っていた賃料の差額を支払い,かつ,1割の利息を支払います。

逆に,賃料増額の裁判が確定した場合,借主は,裁判によって決められた賃料とそれまで払っていた賃料との差額を支払い,かつ,1割の利息を支払うことになります。

 

投稿者: 棚田 章弘

2016.11.08更新

賃貸借契約をしていて,相場に比べて賃料が安い,または高いと感じる場合があります。

こういった場合,賃料の増額や減額をすることができるのでしょうか。

借地借家法によれば,「土地に対する租税その他公課の増減により,土地の価格の上昇もしくは低下その他の経済的事情の変動により,又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは,契約の条件にかかわらず,当事者は,将来に向かって地代等の増減を請求することができる。」

とされています。

よって,様々な事情により,賃料が不相当だ,ということであれば,相手方に請求することによって,賃料の増減額請求をすることができます。

もっとも,賃借人,賃貸人がこれに応じてくれるかは,請求を受けた賃借人,賃貸人次第です。

その増額請求について,賃借人が「いや,今の賃料が適正だ。」と思えば,現行の賃料を支払っておけばよいことになっています。

反対に,請求を受けた賃貸人が「いや,今の賃料が適正だ,」と思えば,現行の賃料を請求してもよいことになっています。

 

このように,増額額請求は,直ちに法的に賃料の増減を相手方に強制することはできません。

増減額請求の効力を法的に生じさせたい場合,相手方に対して,賃料増額,賃料減額の裁判を定期することになります。

次回では,賃料増額,賃料減額の裁判をした場合の効果について記載したいと思います。

投稿者: 棚田 章弘

2016.11.05更新

マンション・アパートで借主が自殺した場合に,相続人に損害賠償はできるのでしょうか。

この点,借主は,貸主に対し,善良な管理者の注意義務を負い,借りた物件に損害を与えないように利用しなければなりません。

そして,借主にとって自殺をした場合に,当該賃貸物件について,その後に賃借しようという人が出現しやすくなることは容易に想像できますし,

借主に,建物内で自殺をしないように求めても酷とは言えません。

このため,マンション・アパート内で,借主が自殺することは,大家に対して全巻注意義務違反によって損害を与えたことになります。

よって,大家は,借主の相続人,連帯保証人に対して,損害賠償を請求できることになります。

 

では,どのくらいの損害賠償を請求できるかになりますが,

自殺物件であっても,時間の経過によって,人の嫌悪感も薄れていき,借りる人も現れるようになります。

このため,認められる損害は,自殺したことによって,借りる人が現れないと思われる合理的な期間の賃料,

また,合理的な期間内の自殺物件ということによって下がってしまった賃料と得られる賃料との差額,ということにあります。

 

過去の裁判例では,1年間分の賃料と,その後2年間の下がってしまった賃料と本来得られたであろう賃料の差額が損害として認められた事例,

従前賃料の半額弱の2年分を損害とした事例などがあります。

 

自殺の社会的認知度などによっては,より長い期間の賃料損害が認められることもあると考えられます。

投稿者: 棚田 章弘

2016.11.02更新

賃料を滞納したときは,賃貸借契約が当然に解除されるものとします,というような契約(失権約款)が締結され,これが有効だとすれば,

大家にとっては有利であり,借主にとってはちょっとでも賃料の支払が遅れてしまえば,住む場所を失うことになるので,きわめて不利です。

このような条項が許されるかのでしょうか。

この点,過去の裁判例では,失権約款があっても,貸主と借主の信頼関係が賃貸借契約の当然の解除を相当とする程度まで

破壊されたといえばない場合には失権約款によるよる当然の解除は認められないとしたものがあります(最判昭51・12.17判寺848・65)。

したがって,失権約款があったとしても,当然に契約を解除できるわけでもなく,単に支払が遅延した程度では解除は難しいといえるでしょう。

 

投稿者: 棚田 章弘

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