2024.10.18更新

不動産賃貸のオーナーは、賃料滞納問題を抱えてしまうケースがあります。
滞納者は決められた日に賃料を払う契約ですが、何らかの理由で払ってもらえないと困ります。
今回は効果的な建物明渡請求について詳しく解説します。

 

建物明渡請求

賃貸借契約は貸主と借主が結ぶ契約で、信頼のうえに成立します。
しかし、賃料の滞納などを理由に信頼が乏しくなるケースがあるでしょう。
建物明渡請求は物件の明け渡しを求めるための法的な手続きです。

 

認められるのは滞納が2ヶ月以上続いたとき

建物明渡請求が認められるのは、具体的な事情にもよりますが、賃料の滞納が2ヶ月以上続いた場合や、信頼性が欠如し契約の維持が難しいと判断された場合です。
ただし、単に賃料が徴収できなかっただけでは、すぐに明渡請求が認められる可能性は低いです。

 

動いてくれる範囲

法律事務所は相談や出廷、明渡完了までサポートしてくれます。
不動産問題解決のために、任意交渉したけれども、進展が難しい場合、頼りになるのが専門家の弁護士です。
不動産を取り扱う法律事務所にまずは、相談してみましょう。

 

滞納者に立ち退きを請求する

滞納が続けば、立ち退いてもらうよう促します。
滞納者が立ち退きを言い渡された後、速やかに部屋を明け渡してくれれば、次の借主から賃料を得られます。

 

立ち退きを命じる方法

任意で交渉をしたり裁判で強制的に退去を求めたりする方法もあります。
滞納者に、どの程度退去してもらいたいのか、また賃料が回収できる可能性によって交渉方法は変わるでしょう。

 

立ち退き請求に応じない

立退交渉がうまく進まないケースもあります。
相手が交渉に応じないなら、裁判を行う必要性が高くなるでしょう。
裁判所の手続きによるべきという自力救済の禁止という原則があるからです。
勝手に家具を処分したり、鍵の交換により部屋に入れなくしたりする問題を防ぐためにあります。

 

滞納者に明け渡しを請求する

一般的な賃料滞納による明け渡しを請求する流れを紹介します。

 

簡単な流れ

明渡請求の簡単な流れは以下の通りです。

● 内容証明郵便で賃料の一括払いを請求
● 一括払いの期限設定
● 期限内に支払わない場合は賃貸借契約の解除
● 任意に明け渡さないなら明渡訴訟を起こす
● 裁判で明渡が認められる
● 明渡の強行執行

賃料を滞納している事実が判決をくだす可能性を高めるでしょう。

 

明渡請求決定後の課題

裁判で明渡が認められても課題が残ることもあります。
たとえば明け渡し後部屋を確認したら家具などが置きっぱなしになっていたり、退去しない状態が続いたりすることもあるでしょう。

 

明渡執行

裁判所の執行官に対して明渡強制執行の申し立てを行う必要があります。
執行から完全に明け渡すまで、概ね2ヶ月は見積もっておくといいでしょう。

 

滞納した賃料は保証される?

さて滞納された賃料は保証されるのでしょうか。
滞納者が行方不明になった場合本人からの徴収は難しいですし、行方を探す手間や時間も要します。
賃料の回収が難しいことを考えると、賃料の滞納が始まった早期の段階できちんと対処をしておくことが大切です。
滞納が進んでから明渡しをしてもらうと回収できない滞納額が大きくなるからです。
滞納額が大きい場合と小さい場合とで明け渡しにかかる費用は変わりませんから、滞納額が小さいときに対処するのが重要になるわけです。

なお、賃料を保証してくれる会社もあります。

 

保証してくれる機関

家賃を保証してくれる家賃保証会社は滞納に対して立替払いしてくれるため、安心です。
契約する際に保証人を立てるケースもありますが、親や親族が保証人要件を満たさなかったり周囲の人に保証人を頼みにくかったりする際に利用します。
賃貸保証会社の利用は、オーナーが決めるのが一般的で最近の賃貸物件は、賃貸保証会社の利用を義務付けているケースも多くなっています。

 

まとめ

家賃滞納に困っているオーナー様向けに解決方法を紹介しました。
ご相談から出廷、明渡完了まで心強いサポートは専門機関である法律事務所です。
不動産の賃貸トラブルや共有解消、賃料増額減額請求をご検討中でしたら、棚田法律事務所にご相談ください。

 

投稿者: 棚田 章弘

2024.10.17更新

遺留分を侵害されている場合は、遺留分侵害額請求を行う必要がありますが、行使期間が限られているため、迅速な対応が必要です。
今回は遺留分とは何か、また遺留分侵害額請求権の行使方法について解説します。

遺留分とは

遺留分とは法定相続人の最低限の取り分のことです。法定相続人には民法の規定に従い、相続分の割合が決められていますが、被相続人が生前贈与を行っていたり遺言により遺贈先を決めていた場合は相続することができません。
この場合でも、遺留分に相当する分は、受贈者等に対して請求することができます。

 

遺留分を有する法定相続人とは

遺留分を有する法定相続人は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。

 

● 配偶者
● 直系卑属(子・孫など)
● 直系尊属(両親・祖父母)

 

被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。
そのため、被相続人の法定相続人が配偶者と兄弟姉妹だけの場合は、遺言書を残すことで、配偶者に全遺産を相続させることができます。

 

遺留分の割合は

原則として、それぞれの法定相続分の2分の1です。
たとえば、配偶者と子3名が法定相続人の場合は、法定相続分と遺留分はそれぞれ次のようになります。

 

  法定相続分 遺留分
配偶者 2分の1 4分の1
子3名 6分の1 12分の1

なお、直系尊属のみが相続人である場合は、3分の1が遺留分になります。

 

遺留分の対象となる財産

遺留分の対象となる財産は、被相続人が相続開始の時において有した財産と生前贈与した財産です。
生前贈与した財産については、持戻しの対象となる年数は贈与の相手により異なります。

 

● 相続人に対する贈与:相続開始前の10年間にしたもの
● 相続人以外への贈与:相続開始前の1年間にしたもの

 

そのため、早めに生前贈与を行っておくことが、遺留分侵害額請求への対応策として有効です。

 

遺留分を無視した遺言の効力

法定相続人の遺留分を無視した遺言も有効です。
そのため、遺留分が主張されることを想定しつつあえて、遺産のすべてを相続させたい人に相続させることも可能です。
さらに、遺産を相続した人を被相続人の生命保険金の受取人に指定し、生命保険金を遺留分侵害額請求を受けた際の支払いの原資とする対策が講じられることもあります。

遺留分侵害額請求とは

遺留分権利者(遺留分を侵害された法定相続人)は、遺留分を侵害している人(生前贈与を受けた人や遺言により遺産をもらった人)に対して、自身の遺留分に相当する金銭の支払いを求めることができます。
これを遺留分侵害額請求権といいます。

 

遺留分侵害額請求権の行使期間

遺留分侵害額請求権は、行使できる期間が限定されています。
具体的には、以下のいずれか早い時までです。

 

● 遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間
● 相続開始の時から10年

 

一般的には、被相続人が亡くなった時から1年経過した時点で遺留分侵害額請求権を行使できなくなります。

 

遺留分侵害額請求権の行使方法

遺留分侵害額請求権の行使方法については特に決まりはありません。
親が亡くなり、その子どもが複数いるにも関わらず、親の遺産が子どもの一人に遺産が集中しているケースでは、子どもたちで話し合うことも可能です。
ただ、行使できる期間が限定されていることから、期間内に請求していることを証するために、相手方に内容証明郵便を送付する方法が確実です。

 

遺留分侵害額の請求調停とは

遺留分侵害額請求に関して当事者間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺留分侵害額の請求調停を申し立てることもできます。
調停は家庭裁判所で行われますが、通常の訴訟のように法廷で証拠をやり取りするわけではなく、調停委員を介して話し合いを行う形で進められます。
そのため、必ずしも弁護士を代理人に立てる必要はありませんし、ご本人が調停期日に出席して、自分の主張を述べることも可能です。

遺留分侵害額の請求調停で注意したいことは、調停の申立てを行っただけでは、遺留分侵害額請求権の行使期間に権利行使したことにならない点です。
そのため、調停の申立てとは別に相手方に内容証明郵便を送付しておく必要があります。

まとめ

兄弟姉妹以外の法定相続人には、原則としてそれぞれの法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合、3分の1)に相当する遺留分が認められています。
遺留分を侵害されている場合は、原則として相続開始から1年以内に遺留分侵害額請求権を行使しなければなりません。
実際の相続では、遺留分が侵害されているのかどうか分かりにくいこともありますし、どの財産が遺留分の対象になるのか判断が難しいことも多いです。
遺留分侵害額請求権の行使期間は限られているので、お困りのことがあれば早めに弁護士等の専門家へご相談ください。

投稿者: 棚田 章弘

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