2015.07.22更新

破産による免責が認められない場合として以下のようなものが挙げられます。

 

1 債権者を害する目的で,現金,預金などの財産を隠したり,消費し,贈与したために回収不能となった場合

2 破産手続を遅延させる目的で,借入を繰り返したり,クレジットカードで物品を購入して不当に安い価格で売却した場合

3 知人や親族のみに有利に返済をした場合(偏波弁済)

4 破産者の当時の収入に見合わないような浪費(高額品の購入,ギャンブル,遊興費,株式,FX)をした場合

5 破産手続の一年前から破産手続開始の決定があった日までの間に,破産原因があることを知りながら,虚偽の事実を申し出て新たに借入をした場合

 

もっとも,上記のような事由がある場合でも,破産手続開始の決定に至った経緯その他の事情を考慮して免責を許可することがあります。

これを裁量免責といいます。

投稿者: 棚田 章弘

2015.07.15更新

破産手続の最終目的は破産することにより未払いの借金や売掛金などの債務の支払いをしなくてよいようにすること,すなわち,免責を得ることです。

 

破産手続において,裁判所が「免責許可決定」をし,これが確定することで,未払いの債務の支払いが不要になります。

 

ただし,破産者に免責を許すのが妥当でない事情がある場合,また,債券の発生原因に鑑みて免責を許すことが妥当でない場合があり,

これらについては免責されません。

前者を免責不許可事由,後者を非免責債権といいます。

 

前者の例として,

ギャンブルや遊興費のために借金をした場合,

後者の例として,

税金,故意に人に対して損害を与えた場合の損害賠償請求権があげられます。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.07.13更新

破産手続には,同時廃止と管財事件という2種類の進め方があります。

 

同時廃止手続は,財産がないために破産管財人を選任せずに手続が終わるもの。

管財手続は,財産があるために破産管財人を選任する手続です。

 

破産管財事件になるかどうかは,

申立ての際に財産があるかどうか

面積不許可事由があるかどうか

財産調査や否認の必要があるかどうか

などいくつかの要素によって決まります。

 

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.07.07更新

破産申立てを行う際には,弁護士費用とは別に裁判所へ納める費用が発生します。

裁判所へ納めるものとしては,以下のものが挙げられます。

1 申立て印紙

2 郵券

3 官報広告費

4 管財予納金

 

1 申立て印紙

  個人の破産の場合,1500円

  法人の破産の場合,1000円

2 郵券

  債権者の数によって変化しますが,最低4100円

3 官報広告費

  個人の場合,16,550円

  法人の場合,13,197円

4 管財予納金

  最低20万円

  4回までの分割納付可能。

 

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.06.21更新

弁護士への依頼から破産手続が終了するまでのスケジュールは人それぞれですが,

一般的には以下のような流れで進みます。

(同時廃止事件の場合と呼ばれる事件の場合であり,管財事件は別の進行になります。)

 

依頼

債権者に対し受任通知の送付

2~3か月で破産申立て(家計簿の作成)

同時廃止の場合,2~3か月後に免責審尋

1~10日で免責許可決定

 

おおむね半年程度で終了すれば早く終了するほうでしょう。

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.06.18更新

夫婦が離婚するにあたって,夫婦の一方から他方に対して,婚姻期間中に増えた財産の分配を求めることができます。

これを財産分与といいます(民法768条)。

 

例えば,婚姻期間中夫が一家の収入を得て,妻が専業主婦だった場合,夫名義の財産はあるけれども,妻名義の財産はないという事態もあります。

このような場合に,妻の婚姻期間中の財産の増加に対する寄与を考慮して,夫名義の財産の分与を認める,というわけです。

 

婚姻期間中に得た不動産,預貯金,生命保険,有価証券,退職金などが分与の対象となりますが,住宅ローンを含めた借金も財産分与の額を定めるうえで考慮する必要があります。

投稿者: 棚田 章弘

2015.06.12更新

夫婦が別居中の場合,相手方配偶者に対し,生活費(婚姻費用)の請求をできる場合があります。

 

夫婦にはお互いに扶養義務(生活の面倒を看る義務)があり,この扶養義務を根拠に相手方に対して生活費を請求することになります。

 

もっとも,生活費の請求も無限定ではありませんので,夫婦の収入に応じてその額が決まってきます。

実務では,家庭裁判所が作成した婚姻費用の算定表を用いて,その請求する金額を定めることが多いですが,

夫婦ごとに事情もさまざまですので,必ず算定表どおりに決まるというわけではなく,夫婦の事情に応じて修正がなされます。

 

婚姻費用の請求の方法としては,まずは任意の話し合い,話し合いで決まらない場合には調停,調停で決まらなかった場合には審判で決まります。

調停は,裁判所を利用した話し合い,審判は,家事事件における裁判手続で裁判所が当事者の意思とは無関係に証拠から婚姻費用を決定します。

 

調停や審判の結果,相手方が任意に支払ってくれればよいのですが,任意の支払いがない場合には,裁判所を利用して強制執行手続を行います。

例えば,給与の差し押さえなどをして相手方の意思を無視して強制的に生活費を回収することになります。

 

 

投稿者: 棚田 章弘

2015.06.04更新

内縁とは,法律上は結婚していないけれども,実態としては夫婦と同様の共同生活を送っていることを言います。

 

単に同棲しているだけでは内縁とは言えません。

夫婦に婚姻意思と夫婦の共同生活の実態があることが必要です。

つまり,単に同棲しているだけで,お互いに「届け出はしていないけど,夫婦であり,結婚している。」という意思がないと内縁とまではいえない,ということになります。

 

内縁が成立している場合,夫と妻には法的に保護に値するものがあるとされていて,一定の効果があります。

1 内縁関係を一方的に解消された場合には,内縁の不当破棄といって慰謝料支払いの責任が生じます。

2 夫婦間には婚姻費用分担義務があり,生活費を請求できます。

3 内縁の解消の場合の財産分与が認められます。

 

ただし,法律の婚姻とは異なりますから,完全に夫婦と同一に扱うことはできません。

例えば,配偶者としての相続権は認められません。

 

このように内縁には相応の保護が図られてはいますが,完全に婚姻と一致するものではないので,注意が必要になります,

投稿者: 棚田 章弘

2015.06.02更新

専業主婦の妻が夫と別居する場合,その生活費をどうするかが問題となります。
この点について,民法760条は,婚姻期間における生活費の負担について,「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定しています。
 上記の例でいえば,この民法760条に基づいて,妻は,夫に対し,生活費の支払いを請求することになります。
 もちろん,妻のほうが収入が大きく,夫のほうが少ない場合は,妻のほうに生活費の支払義務が課されることもありえます。
 この生活費の分担義務は,夫婦生活が破たんしていても,離婚をしない限り分担義務を免れえないのが原則です。ただし,破綻について責任がある配偶者(有責配偶者)からの請求は一定の制限がなされる場合があります。
 
 では,具体的にどうやって生活費の分担が決まるかというと,一次的には夫婦間の協議により決まり,協議がまとまらない場合に,家庭裁判所の審判で決まることになります。
 一般的には,最初にお互いの話し合い,調停,審判という手順をとることになります。
 
 では,具体的にいくらになるのか?というと,家庭裁判所において,生活費分担の算定表が作成されており,特別の事情がない限りは,この算定表に基づいて婚姻費用の分担が決まることが多いといえます。

投稿者: 棚田 章弘

2015.05.20更新

例えば,浮気をした夫が妻に対して離婚請求をする場合,つまり,離婚原因を自ら作り出した配偶者から離婚を請求できるか,という問題があります。

 

自分から浮気をしておきながら,自分の浮気を理由離婚できるとするとそれは明らかに不公平ですね。

このため,最高裁は,昭和27年2月19日の判決で,不貞行為をした夫から妻への離婚請求を「不徳義」であるとして退けました。

 これが「踏んだり蹴ったり判決」といわれたもので,「もしかかる請求が是認されるならば、妻はまったく俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくのごとき不徳義勝手気侭を許すものではない」として,最高裁は,浮気した夫からの離婚請求を認めませんでした。

 

 もっとも,その後,有責配偶者からの離婚請求を一切認めないのは妥当でない,として,昭和62年9月2日の判決で,別居期間などの一定要件を満たす場合には,有責配偶者からの離婚請求を認めています。

 どのような事情により,有責配偶者からの離婚の請求が認められるかは個別具体的な事情によりますが,別居期間の長さや幼い子供がいるかどうかが一つの目安となります。

 別居期間の長さは,少なくとも5~6年,事情によってはそれより長期が必要になります。事情によっては短い期間で認められる可能性はありますが,少なくとも1~2年の別居期間では難しいといえるでしょう。

投稿者: 棚田 章弘

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